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燃え尽き脳神経内科医の備忘録・学習記録

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低Na血症と顔面上肢不随意運動の症例|神経内科の論文学習

Posted on 2020年5月15日 By 雪むかえ 低Na血症と顔面上肢不随意運動の症例|神経内科の論文学習 へのコメントはまだありません
医学, 脳神経内科, 論文

f:id:yukimukae:20200515183212p:plain

久しぶりにMGH caseを読みました.
MGH caseやNeurology Clinical reasoningは,診断までのプロセスを読むのが非常に面白いです.


Case 15-2020: A 79-Year-Old Man With Hyponatremia and Involuntary Movements of the Arm and Face

 N Engl J Med. 2020 May 14;382(20):1943-1950. 
 PMID: 32402166
 doi: 10.1056/NEJMcpc1913477.


pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 


  • 症例提示

  • 感想

症例提示

Case 15-2020: A 79-Year-Old Man With Hyponatremia and Involuntary Movements of the Arm and Face

79歳 男性.

【現病歴】
倦怠感,左上肢と顔面の不随意運動がみられた.
不随意運動は左肘と手首が数秒屈曲し,左顔面がひきつるような動きであった.

Naは120前半まで低下し,高調食塩水点滴,水分制限,塩化ナトリウム投与などが行われた.Naが改善し,不随意運動も改善したが,数週後に再度不随意運動が出現し,悪化した.

【診断とその後の経過】

低Na血症,一側顔面上肢の不随意運動.血清抗LGI1抗体陽性.

→ 診断:抗LGI-1抗体関連脳炎,Faciobrachial dystonic seizures

ステロイドパルス療法で軽快して,その後ステロイドで維持療法を行っている.

Faciobrachial dystonic seizuresの特徴

  • 持続時間:数秒.
  • 頻度:日に数百回生じることもある.
  • 部位:上肢と同側顔面のジストニア肢位を生じる.まれに体幹と上肢.
  • 随伴する特徴:感覚的前兆,まれに自動症や行動変化,発語停止.
  • 脳波:発作時脳波は>50%で異常がない.
  • MRI:正常のことが多いが,側頭葉や基底核の信号変化を認めることがある.
  • 予後治療をしない場合,3ヶ月以内に認知機能障害を生じる.

感想

 この疾患は特徴的なので知っていれば鑑別に上げやすい疾患と思います.知らなければなかなか診断に至りにくいのではないでしょうか.

 

 文中では,PubMedで “face,” “arm,” “dystonic,” “hyponatremia” を検索し,本疾患がヒットしたと書かれていました.

 自分も検索したことで診断に結びついたことを何度か経験しています.PubMedで検索する閾値は常に低くしておきたいものです.

 

 今回の論文には不随意運動の動画は載っていませんでした.下の動画はYoutubeにアップされているFaciobrachial dystonic seizuresの発作です(Lancetに報告された症例のようです.Pathognomonic seizures in limbic encephalitis associated with anti-LGI1 antibodies – The Lancet)

 

 
他に,文中の低ナトリウム血症に基づいた鑑別疾患の部分は参考になりました.

 


 

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