Skip to content
燃え尽き脳神経内科医の備忘録・学習記録

燃え尽き脳神経内科医の備忘録・学習記録

脳神経内科医によるブログです。自己学習として読んだ論文や、論文中で出た英単語を記録しています。

  • ホーム
  • このブログについて
  • 論文備忘録
  • アプリレビュー
  • 英単語備忘録
  • Home
  • 神経超音波検査で慢性炎症性ニューロパチーの検出率が改善する(Neurology)|神経内科の論文学習

神経超音波検査で慢性炎症性ニューロパチーの検出率が改善する(Neurology)|神経内科の論文学習

Posted on 2020年4月18日 By 雪むかえ 神経超音波検査で慢性炎症性ニューロパチーの検出率が改善する(Neurology)|神経内科の論文学習 へのコメントはまだありません
医学, 脳神経内科, 論文

f:id:yukimukae:20200417192513p:plain


Nerve ultrasound improves detection of treatment-responsive chronic inflammatory neuropathies

 Neurology. 2020 Apr 7;94(14):e1470-e1479.
 PMID: 31959710
 DOI: 10.1212/WNL.0000000000008978


n.neurology.org


Nerve ultrasound improves detection of treatment-responsive chronic inflammatory neuropathies


方法 Method

 期間:2015年2月~2018月6月.
 症例:臨床的にCIDPが疑われる連続100症例.前向きコホート研究.

 

Inclusion

CISを疑う連続症例.

CISの定義:

  • 亜急性~慢性の感覚運動性ポリニューロパチー(6週間以上)と下記基準のうち2つ以上を満たす.
    (1) 非対称性, (2) 近位筋筋力低下,  
    (3) 全身性の腱反射低下,   (4) 感覚性失調, 
    (5) 急速な進行,  (6) 痛み分布非対称性や多巣性
  • あるいは,亜急性~慢性の純粋運動性or感覚ニューロパチーに加えて上記の基準1つ以上を伴う.

(この基準では,classical CIDP, pure motor CIDP, pure sensory CIDP, MMNやLSSなどの亜型が含まれる)

Exclusion

 (1) 過去にポリニューロパチーの診断や治療
 (2) 年齢<18歳,あるいは>80歳
 (3) 神経超音波検査が施行できない

 

 問診,身体診察を行う.全例で神経超音波検査と標準的な神経伝導検査(NCS),他の診断に必要な検査(MRIなど)を施行した.

慢性炎症性ニューロパチーの診断

CINの診断はの基準の基づいて行った((1)+(2)+(3a)あるいは(1)+(2)+(3b)で診断)

 (1) 臨床的表現型がEFNS/PNS criteria CIDP/MMNに合致する.
 (2) 1年間の臨床経過がCIDP/MMNの経過として合致する.
 (3a) NCSがEFNS/PNS criteriaに合致する.
 (3b) 神経エコーで異常を認め,かつ,治療反応性がある

超音波検査

約20分で施行.検者にNCSや他の検査結果を伝えずに検査を施行した.

両側の神経断面図を計測した(前腕1/3と上腕1/2の位置で正中神経.C5,6,7神経根).

片側ないし両側で神経腫大を1箇所以上検出した場合に,異常ありと判定する.

結果 Results

 連続100例中,最終的に38例でCIPと診断された(CIDP 20例, LSS 4例, MMN 14例).

38例の内訳

  • NCS異常あり+神経エコー異常なり:31例.そのうち,29例がCINの最終診断(76%. 29/38例)
  • NCS異常あり+神経エコー異常なし:3例.そのうち1例でCINの最終診断(3%. 1/38例)
  • NCS異常なし+神経エコー異常なし:41例.CIN 0例.
  • NCS異常なし+神経エコー異常あり:25例.うち15例で免疫治療が行われ,そのうち8例で治療反応性があり,CIPと診断された(CIDP 4例,MMN 4例)

感度,特異度,陽性適中率,陰性適中率

  • 神経エコー検査は感度97.4%,特異度69.4%であった.
    NCSでは感度 78.9%,特異度 93.5%であった.
  • NCS単独と比べて,超音波検査を追加することで,治療反応性があるCINを21.1%発見できる.
  • 陽性適中率(PPV)は神経エコー66.1%, NCS 88.2%.陰性適中率(NPV)は神経エコー97.7%,NCS 88.2%.

結論 conclusions

 神経エコー検査は感度,NCSが特異度に優れ,互いに補完的な検査である.
 CINでの神経エコーは,感度が高く,スクリーニングのツールとなりうる.

 神経エコー検査を追加することで,CINの検出率が有意に改善する.そのため,超音波検査はCIN診断検査において,重要な位置づけになる.

感想

 本報告では,慢性炎症性ニューロパチーにおける神経超音波検査の感度は97.4%と非常に優れているようです.スクリーニング検査として期待されるかと思います.

 まだ本邦では,神経超音波検査が十分に行われていないように思います(少なくとも自分の周りではそのように思います).今後の普及が待たれると思いました.

 


 

 にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へにほんブログ村

関連

投稿ナビゲーション

❮ Previous Post: 医学論文を読むときに調べた英単語【英単語備忘録99】
Next Post: 医学論文を読むときに調べた英単語【英単語備忘録101】 ❯

コメントを残す コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

最近の投稿

  • 球脊髄性筋萎縮症SBMAの全身筋MRIの所見
  • 備忘録 眼筋型重症筋無力症での検査精度
  • 髄膜癌腫症でみられるBloomy Rind Sign (白カビ徴候?)
  • 胸腺腫術後に精神症状,精神症状,多発脳病変を生じた症例
  • 舌障害のみを呈した遅発性ポンペ病の症例

カテゴリー

  • アプリ/ソフトレビュー (4)
  • 医学 (104)
  • 学習 (153)
  • 未分類 (9)
  • 脳神経内科 (76)
  • 英語 (116)
  • 論文 (70)

アーカイブ

  • 2024年3月 (1)
  • 2023年12月 (1)
  • 2023年2月 (1)
  • 2022年10月 (1)
  • 2022年6月 (1)
  • 2022年3月 (4)
  • 2021年9月 (1)
  • 2021年6月 (1)
  • 2021年5月 (3)
  • 2021年4月 (5)
  • 2021年3月 (3)
  • 2021年2月 (1)
  • 2021年1月 (1)
  • 2020年11月 (5)
  • 2020年10月 (3)
  • 2020年9月 (1)
  • 2020年8月 (6)
  • 2020年7月 (2)
  • 2020年6月 (8)
  • 2020年5月 (6)
  • 2020年4月 (28)
  • 2020年3月 (1)
  • 2019年11月 (2)
  • 2019年10月 (16)
  • 2019年9月 (7)
  • 2019年8月 (19)
  • 2019年7月 (38)
  • 2019年6月 (4)
  • 2019年5月 (8)
  • 2019年1月 (4)
  • 2018年10月 (3)
  • 2018年9月 (4)
  • 2018年7月 (1)
  • 2017年12月 (7)
  • 2017年11月 (7)
  • ホーム
  • このブログについて
  • 論文備忘録
  • アプリレビュー
  • 英単語備忘録
  • ホーム
  • このブログについて
  • 論文備忘録
  • アプリレビュー
  • 英単語備忘録

Copyright © 2025 燃え尽き脳神経内科医の備忘録・学習記録.

Theme: Oceanly by ScriptsTown