燃え尽き脳神経内科医の備忘録・学習記録

脳神経内科医によるブログです。論文を独り抄読会として載せていきます。論文を読む際に調べた英単語も記録しています。よろしければ御覧ください。

進行性核上性麻痺での発症前の中脳萎縮について|神経内科の論文学習

Midbrain atrophy in patients with presymptomatic progressive supranuclear palsy-Richardson's syndrome

   Parkinsonism Relat Disord. 2019 Jul 8. pii: S1353-8020(19)30299-8
 DOI  https://doi.org/10.1016/j.parkreldis.2019.07.009
 

www.ncbi.nlm.nih.gov

進行性核上性麻痺 Richardson症候群における発症前の中脳萎縮

 Richardsonタイプ進行性核上性麻痺(PSP-RS)の発症前における中脳萎縮に関しての論文.

 PSP-RSの発症前(=Pre-PSP-RS)に頭部MRIが撮影されていた症例と,パーキンソン病(PS),健常群(Control)を比較した研究.

 

Method

Inclusion

・2010年1月から 2017月12月の期間で韓国の6つの大学病院を受診した症例.
・Movement Disorder Society Criteriaでprobable PSP-RSと診断.
・PSPを示唆する臨床症状が出現する12~48ヶ月前に頭部MRIを施行している.

脳幹に影響するような病変がある症例は除外.

年齢と性別がmatchするようにPD群(United Kingdom Parkinson's Disease Brain Bank Criteria)とControl群をInclusion.

画像評価

Obaらの測定法(New and reliable MRI diagnosis for progressive supranuclear palsy | Neurology)で 中脳面積,橋面積,中脳・橋面積比(P/M比)を計算した.

Result

 PSP-RS(Pre-PSP-RS) 27例,PD27例,control27例.

橋面積

f:id:yukimukae:20190803222729p:plain

   4つの群(Pre-PSP-RS,PSP-RS,PD,control)で有意差なし.

中脳面積

f:id:yukimukae:20190803222759p:plain

  • Pre-PSP-RSとPSP-RSが,PDとcontrolより有意に小さい.
  • PSP-RS vs PD:cut-off <0.96とすると,感度77.8% ,特異度100%,Accuracy 88.9%.
中脳・橋面積比(P/M比)

f:id:yukimukae:20190803222859p:plain

  • Pre-PSP-RS>PD or control
  • PSP-RS >> PD or control

  • PSP-RS vs PD:cut-off >5.13とすると感度88.9%,特異度100%,Accuracy 94.4%.
  • Pre-PSP-RS vs Control:cut-off >4.58とすると,感度88.9% ,特異度96.3% ,Accuracy 92.6%.
縦断的変化
  • Pre-PSP-RSとPSP-RSでは,中脳面積が0.048 cm2 (0.003–0.111 cm2) 低下した.中脳面積低下量は発症年齢や罹病期間,ベースラインの中脳面積,UPDRSⅢ,H&Y分類とは相関しない.
  • 橋/中脳面積比は,年間0.25 (0.01–0.60)で低下する.橋/中脳面積比低下率は発症年齢とは相関しない.

結論

中脳萎縮はPSP-RSの症状発現に先行し,Pre-PSP-RSの画像バイオマーカーとして有用である.