燃え尽き脳神経内科医の備忘録・学習記録

脳神経内科医によるブログです。論文を独り抄読会として載せていきます。論文を読む際に調べた英単語も記録しています。よろしければ御覧ください。

筋痙攣を生じた症例:症例問題|神経内科の論文学習

A Case of Muscle Twitching With Psoriasis

 (JAMA Neurology Clinical Challenge)

https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/article-abstract/2737278

DOI:10.1001/jamaneurol.2019.1937

 

JAMA Neurologyより,症例問題.なんとなく答えにはたどり着きましたが,やや知識不足を感じました.不随意運動は文章で読むより動画を観るのが一番勉強になりますね(国語力が無いのも影響しているのでしょうが…).

 


症例

 42歳 男性

 

[現病歴]

2ヶ月前から,日中や夜間に腹部と両下腿の筋痙攣を自覚.発汗過多と,長時間歩行後の両下肢軽度筋力低下も自覚.記憶障害や幻覚,睡眠障害はない.

 

[既往歴]

30年前から乾癬の既往あり,間欠的にステロイドを服用する.4年前から甲状腺機能低下症があり,levothyroxineを服用している.

[家族歴]

特記事項無し.

 

[身体所見]

皮膚は乾癬の所見あり.腹部と下腿には紫色の腺がある.

腹部と下腿の筋表面に波打つように盛り上がる動きが見られる(Full articleでは動画あり).

その他,神経所見含め異常なし.

[検査所見]

CKや甲状腺刺激ホルモンは正常.

抗核抗体,傍腫瘍性抗体(Hu,Yo,Ri,CV2.Ma2,Amphiphysin抗体)は陰性.

胸部CTは異常なし.

 

Question:診断は?

 A. Autoimmune Isaacs syndrome

 B. Morvan syndrome

 C. Rippling muscle disease

 D. Amyotrophic lateral sclerosis

 

 

診断:A. Autoimmune Isaacs syndrome

 

 

Isaccs症候群

1961年に持続性の全身性筋硬直と筋痙攣,EMGで安静時自発放電を認める2例が報告されたことが始まり.持続性の筋痙攣とミオキミア,筋肥大,体重減少,多汗症が特徴的である.

 

異常な自己免疫,傍腫瘍性,遺伝性に生じる.

EMGでは不規則な自発放電が頻回にみられる(single~multiple)

NCSではafter-dischargesがみられる

(本例でもNCS,EMGで所見あり,VGKC抗体陽性(Caspr2抗体 100倍)であった) 

Isaccs症候群でのNeuromyotonia(From Youtbe)

 

Morvan症候群

末梢神経の過剰興奮が特徴である.CASPR2抗体,LGI1抗体とも生じる.ミオキミアとニューロミオトニア,自律神経症状,睡眠障害,中枢神経障害(変動性の脳症)などを生じる.

 

Rippling muscle disease

 恥ずかしながら初めて知った疾患です(そもそも遭遇することはある?)

 

叩くことで転がる~さざ波の様に広がる不随意な筋収縮が誘発される.骨格筋繊維の膜関連蛋白であるcaveolin-3(CAV3)遺伝子の変異で生じる.過度の興奮性は無く,筋由来である.EMGではripplingに伴い,MUPがみられる.

https://ghr.nlm.nih.gov/condition/rippling-muscle-disease#genes

 

YoutubeでRippling muscle diseaseでの筋収縮がアップされていました↓