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燃え尽き脳神経内科医の備忘録・学習記録

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脊髄病変を伴った急速進行性のプリオン病|神経内科の論文学習

Posted on 2020年4月28日 By 雪むかえ 脊髄病変を伴った急速進行性のプリオン病|神経内科の論文学習 へのコメントはまだありません
医学, 脳神経内科, 論文

Neurology Pearls & Oy-stersより.

 


Pearls & Oy-sters: Rapid progression of prion disease associated with transverse myelitis

 Neurology. 2020 Apr 14;94(15):e1670-e1672. 
 PMID: 32165448
 DOI: 10.1212/WNL.0000000000009257


www.neurology.org


  • 脊髄病変を伴った急速進行性のプリオン病(Pearls & Oy-sters)

    • Pearls & Oy-sters
    • 症例
      • 現病歴
      • 神経所見
      • 検査所見
      • その後の経過
    • 考察より
  • 感想


脊髄病変を伴った急速進行性のプリオン病(Pearls & Oy-sters)


Pearls & Oy-sters

Pearls 

  • 長大性脊髄炎や髄液所見に乏しい脊髄炎では,プリオン病を考慮する(特に,認知機能障害がある場合).
  • Creutzfeldt-Jakob病(CJD)で局在性の症状がある場合は,脊髄病変を疑い画像検査を考慮する.
  • 脊髄病変を伴うCJDは急速に進行しうる.

Oy-sters

  • 初期にはCJDの典型的な脳画像所見がみられない可能性がある.
  • 亜急性~急性の脊髄症に認知機能症状を伴う場合は,プリオン病を調べる必要がある.

症例

57歳 男性.

現病歴

2ヶ月前から手の使いにくさ,歩行不安定さ,尿便失禁が出現し,進行性に悪化した.
家族歴なし.

神経所見

注意障害や構音障害,右下肢筋力低下,右上肢失調,振戦がみられた.
レベルをもった感覚障害はない.

 

検査所見

  • 髄液検査:髄液糖,細胞数,細胞診は異常なし.髄液蛋白55 mg/dL.
  • 免疫検査:AQP4抗体,抗核抗体,傍腫瘍性抗体は陰性.IgG indexは異常なし.
  • 感染検査:髄液HIV,髄液HSV1,2,髄液サイトメガロウイルス,髄液VZVは陰性.血清Lyme抗体,HTLV,真菌検査,肝炎検査,梅毒検査は異常なし.
  • その他の血液検査:ビタミンB12,ビタミンEは正常.
  • 脳MRI:明らかな異常なし.
  • 脊髄MRI:C6~T1にかけて,長大な脊髄病変を認めた.
     f:id:yukimukae:20200427194315p:plain
  • 胸部CT:サルコイドーシスを示唆する所見なし.

その後の経過

1週間後,徐々に意識状態が悪化した.ICUに入室し,気管内挿管された.
高用量ステロイド投与,血液浄化療法などを行ったが改善はなかった.

四肢のミオクローヌスが出現した(startle myoclonus驚愕反応も伴った).入院中,神経症状は増悪した.

脳波では全般性の軽度~中等度の徐波が見られた.

MRI再検では,前頭皮質のDWI高信号(ribbon-like)がみられた,尾状核と被殻でもDWI高信号がみられた.
 f:id:yukimukae:20200427201037p:plain

その後,ホスピスに移って,死亡した(発症から3.5ヶ月後).
病理解剖では,14-3-3蛋白とRT-QUIC法の結果は陽性であった.遺伝子検査は異常なし.

 → 孤発性CJDと考えられた.

考察より

  • CJDの動物モデルでは,脊髄病変を伴う場合は進行が早いことが報告されている.(Pathogenesis of scrapie is faster when infection is intraspinal instead of intracerebral. – PubMed – NCBI)
  • CJDの脳画像や脳波所見の特徴はこれまでの報告で確立しているが,脊髄の所見はまだ確立してない.

感想

 最終的な脳MRIを見ると,診断は難しくないのでしょうが,本例のように初期の頃に脊髄病変での症状が目立った場合は診断に苦慮すると思いました.

 稀な症例でしょうが,このような経過もあることを覚えておこうと思います.
 


 

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