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燃え尽き脳神経内科医の備忘録・学習記録

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脳深部刺激療法の離脱症候群について: 症例報告|神経内科の論文学習

Posted on 2019年7月20日 By 雪むかえ 脳深部刺激療法の離脱症候群について: 症例報告|神経内科の論文学習 へのコメントはまだありません
医学, 学習, 脳神経内科, 論文

Malignant deep brain stimulator withdrawal syndrome

  (BMJ Case Report)

 BMJ Case Rep 2019;12:e229122
 DOI:10.1136/bcr-2018-229122

 

 脳深部刺激療法(DBS)施行中のパーキンソン病(PD)患者に発症した悪性症候群です.非常に稀な病態と思います.DBSの電池切れは,調べようとしなければ気づかないので,このような症例があることを知っておくのは重要かもしれませんね.

 過去にも症例は報告されているようです.

 

 ちなみに,PDでの悪性高熱症は”Parkinsonism-hyperpyrexia syndrome (PHS)”という名称を使うようです.知りませんでした.

 


症例

 67歳 女性

 

[現病歴]

 1991年にPDと診断され,レボドパ/カルビドパ,プラミペキソールで治療した.

 症状コントロール不良となり,2007年にDBS(両側視床下核刺激)を留置した.運その後7年は良好にコントロールされた.電池交換はしていない.

 2014年に,3日間続く39℃の発熱,意識障害,経口摂取困難,尿量低下で受診.(抗精神病薬投与や抗パ薬中断などはなかった)

 

[身体所見]

 体温38.5℃,心拍数110bpm,血圧180/77mmHg,呼吸数18回/運,SpO2 90%(室内気).傾眠で,痛み刺激で反応しない.発汗,高度脱水,軽度呼吸不全もみられた.

 

[検査所見]

 Cr 123 μml//L,Na 157 mmol/L,CK 1,015 U/L,WBC 12,600 /μL,CRP 1.6 mg/dL.CMVやEBV検査は陰性.TSH,カルシウム,アンモニア,肝酵素,ビタミンB12は正常範囲.

 髄液検査は,培養やウイルスPCR含め異常なし.

 レントゲンでは両側肺底部に無気肺.CTでは感染巣を認めず.

 

 

[経過]

 抗菌薬とビタミンB1を投与したが効果なく,その後も高熱が持続した.

 高熱,高度の筋固縮,意識障害,自律神経症状(血圧上昇,頻脈),CK上昇,などから,悪性症候群を疑った.

 補液,アセトアミノフェン,冷却等を行い,レボドパを3倍量まで増量した(赤矢印).一時的に解熱したが,2日後には再度熱発した.

 DBSの電池低下を疑い,第17病日に交換し(青矢印),数時間後には臨床症状が改善した.翌日には解熱し,自律神経症状も安定し,CK,WBC,Cr,CRPも正常化した.

 f:id:yukimukae:20190719164507p:plain

(文献より引用)

 

診断

 DBS withdrawal syndrome

 


DBS withdrawal syndrome/ Malignant deep brain stimulation (DBS) withdrawal syndrome

DBSを施行している進行期PD患者の急なDBS停止で生じる.
過去にも複数例報告されており,死亡例の報告もある.

 

長期PD罹病, 長期のDBS施行,高齢がリスクとなる可能性あり(過去の報告をまとめると,それぞれの平均は,19.3 年,7.6 年,67.1 歳)

疑った場合はドパミン作動薬投与を行いつつ,早期の電池交換を行うべきである.

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