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燃え尽き脳神経内科医の備忘録・学習記録

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薬剤性パーキンソニズムとパーキンソン病の鑑別におけるMIBG心筋シンチグラフィーの役割

Posted on 2022年3月14日2022年3月14日 By 雪むかえ 薬剤性パーキンソニズムとパーキンソン病の鑑別におけるMIBG心筋シンチグラフィーの役割 へのコメントはまだありません
医学, 脳神経内科, 論文

最終更新 2022年3月15日

薬剤性パーキンソニズムは比較的よくみかける疾患ですが,時に診断に苦慮することがあります.特に,パーキンソン病(PD)と鑑別しにくかったり,投薬中止してもなかなか症状が改善しない時などです.

今回,DIPとPD鑑別におけるMIBG心筋シンチグラフィーの有用性に関する研究を読みました.

目次

  • 1 今回の文献
    • 1.1 方法
      • 1.1.1 DIP症例の採用基準
      • 1.1.2 PD症例の採用基準
      • 1.1.3 MIBG心筋シンチグラフィー
    • 1.2 結果
      • 1.2.1 DIP症例の特徴
      • 1.2.2 MIBG心筋シンチグラフィーの結果
      • 1.2.3 単変量および多変量解析
  • 2 読んだ感想
    • 2.1 関連

今回の文献

The potential role of the cardiac MIBG scan in differentiating the drug-induced Parkinsonism from Parkinson’s disease
Clin Park Relat Disord. 2022 Jan 7;6:100130.
doi: 10.1016/j.prdoa.2022.100130
PMID: 35146407

薬剤性パーキンソニズムとパーキンソン病の鑑別におけるMIBG心シンチグラフィーの役割.

方法

DIP症例の採用基準

1)主要兆候4つのうち2つ以上を認める(小宿,振戦,稼働,姿勢反射障害)
2)抗精神病薬の投与前に錐体外路症状がなかった.
3)抗精神病薬の治療中に症状が始まった.

PD症例の採用基準

UK Parkinson’s Disease Society Brain Bank (UKPDSBB)の臨床的診断基準に基づいた.

他の神経精神疾患,神経性疾患の家族歴,過去あるいは現在の心疾患の既往がある症例は除外.

MIBG心筋シンチグラフィー

1.4–2 mCi 131I-MIBGを注射し,2時間後に撮影した.H/M比を計算し,H/M比低下した症例は陽性,低下が無い症例は陰性とした.

結果

薬剤性パーキンソニズム(DIP)44例,パーキンソン病32例.

年齢:DIP 62.6 ± 5.9, PD 51.5 ± 10.8 (p<0.001)

DIP症例の特徴

29.5%が左優位,52.3%が右優位,18.2%が左右対称性.
服薬開始からDIP発症までの期間,28.5 ± 20.5日(最短は5日,最長は90日)
薬の種類:61.4%が定型精神病薬,25.0%が非定型精神病薬,13.6%が両方を服用.
薬中止から症状改善までの期間:左右対称性のDIPでは49.0±31.7日,左右非対性のDIPでは39.0±22.7日.(最長は90日)

MIBG心筋シンチグラフィーの結果

PDでは15.6%が検査陰性.DIPでは86.4%が検査陰性.(p<0.001)

DIPでは,左右対称性or非対称性で検査陰性に有意差なし.基礎疾患別では,気分障害でのDIPより,精神症でのDIPの方が,MIBG陽性率が高かった(3,85% vs 27.78%, p=0.023)

PD診断における,MIBG心筋シンチグラフィーの感度84.4% (CI: 84.0 to 84.8),特異度86.4% (CI: 86.0 to 86.7)であった.

単変量および多変量解析

年齢とMIBG心筋シンチグラフィーが,有意にPD診断と関連する(年齢と性別で調整した多変量ロジスティック回帰では,年齢 OD 0.812(0.717-0.918,p<0.001),MIBG心筋シンチグラフィー OR 82.082 (12.034-605.512, p<0.001))

読んだ感想

MIBG心筋シンチグラフィーは確かにPDとDIPを鑑別するのに有用であるとは思う.

しかし,DIPの約13.6%がMIBG陽性となることは悩ましいところである.この13.6%が多いと感じるか,少ないと感じるか,意見の分かれるところかもしれないが,個人的には多いと思ってしまう.

また,DIPでの症状の左右差の割合も気になるところ.今まで,”DIPは比較的左右対称性のことが多い” というイメージを持っていた.実際,検索してみると薬剤性パーキンソニズムは”左右差が目立たないことが多い”と多くのサイトや資料で書かれている.しかし,本研究では左右対称性なのは18%程度で,むしろ左右非対称性のことが多い(しかも右優位が多いのも興味深い).

加えて,実臨床では心疾患の合併によりMIBG心筋シンチグラフィーが陰性化している症例もおり,MIBGの結果をきちんと解釈する必要があるかと思う.

本研究で用いられたトレーサーである123I MIBGは本邦で一般的に検査されている131I MIBGとは少し異なるよう(123Iは研究が行われたイランでは使用できなかったため.131Iよりも劣るらしい).123I MIBGなら結果は変わったのだろうか.また,early, deleyといった2回撮影ではなく2時間後の1回のみの撮影であり,washout rateは測定できていない.washout rateはDIPとPDの鑑別には使えないのか?という疑問が残った.

関連

タグ: パーキンソン パーキンソン病 脳神経内科 薬剤性パーキンソニズム 論文

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